ドロミテの山容スイス・アルプスの山々に抱かれたエンガディン地方の隠れ里へ

2018.05.18

スイス南東部のエンガディン地方へ


スイス・アルプスのハイキングと言えば、名峰マッターホルンを望むヴァリス州のツェルマットやアイガー、メンヒ、ユングフラウの山々を抱えるベルン州のグリンデルワルトを旅の起点とすることが多いですが、スイスにはこれらの山岳リゾートの他にも、ハイキングを楽しむために適したロケーションにある村や街がたくさんあります。
 スイスの南東部のエンガディン地方には、イタリアとの国境を成す標高4000mを越えるベルニナ山群の山々が東西に横たわり、その麓には過去に冬季のオリンピックが2回開催されたウィンタースポーツの聖地、サンモリッツがあります。




エレガントな雰囲気漂う山岳リゾート、サンモリッツ


 ベルニナ・アルプスの山々に囲まれ美しい湖に面したサンモリッツは、雪に覆われる冬、世界有数の高級ウインターリゾートとして賑わいます。日中、目抜き通りには有名ブランドのブティックや、5つ星ホテルが建ち並び、ウィンタースポーツに出かける人々に混じって、洗練されたファッションに身を包んだ旅行者が行き交う、エレガントな雰囲気が街中に漂います。
 その一方で、山の麓が緑で覆われる夏は、瀟洒な街並みはそのままに、冬の賑いとはうってかわり、アルプスの麓街ならではの爽やかで心地よい空気に包まれ、静かで穏やかな時間が流れます。夏、サンモリッツの街に着いたら、まず美しい湖畔をめぐりアルプスの空気をたっぷり吸ってから、街の中に足を運ぶことをぜひお勧めします。目指すホテルやハイキングのためのケーブル乗り場につく頃には、身も心も軽くなっていることを感じられることでしょう。






アルプスの画家が愛したベルニナアルプスの山と自然


 サンモリッツを起点にした夏のハイキングは、実に多彩な景色を楽しむことができます。ケーブルで山上に上がれば、氷河や雪をいただいた清冽なベルニナの山々が目の前に現れ、そして山の麓を歩けば、緑豊かな自然林や牧草地の穏やかな景色が心を癒やしてくれます。エンガディン地方を訪れた際に、ぜひお勧めの場所は、サンモリッツからバスを乗り継いで行くことができる山麓にひっそりと佇む村、ソーリオです。石瓦を葺いた可愛らしい民家が山腹の緩斜面に身を寄せるように集まり、周囲を取り囲む牧草地と栗畑、さらにその外側に覆いかぶさるように連なるベルニナの山々と相まって、素朴で美しい景観を作り出しています。イタリアで生まれ、アルプスの画家とも称されることのある画家、セガンティーニもこの場所に魅了され、数々の作品を残しています。
 隠れ里のような静謐な雰囲気に包まれたソーリオの探訪は、アルプス本来の山々や自然の美しさを、しみじみと感じる事ができるまたとない機会となることでしょう。
 サンモリッツに戻った後は、セガンティーニの作品を収蔵したセガンティーニ博物館を訪れるのもおすすめです。



エンガディン地方への行き方


 エンガディン地方に訪れる方法はいくつかありますが、なんと言っても列車を利用して訪れるのが一番です。スイス側からはアルブラ線、イタリア側からはベルニナ線が、それぞれサンモリッツまでを結びます。どちらも鉄道史に名を刻む伝統と周囲に広がる美しい景観から、多くの人を魅了し、世界遺産にも登録されている鉄道です。奥深い魅力があふれる、エンガディン地方にぜひ皆さんも訪れてみてはいかがでしょうか?






北島 聡之北島 聡之

東京本社
出身地:東京都