ドロミテの山容ニュージーランド屈指の山岳国立公園

2019.01.24

ニュージーランド最高峰アオラキ/マウントクックと国立公園


皆さん、「バーティカル・リミット」という山岳映画はご存じでしょうか?数多くの映画が撮影されているニュージーランドですが、ここアオラキ/マウントクック国立公園周辺で20年ほど前に撮影されました。最高峰アオラキ/マウントクックの標高は3,724mですが、映画の舞台はなんと世界第2の高峰K2をはじめとするカラコルム山脈!
では何故この国立公園周辺をロケ地にしたのでしょうか?標高こそ高くないですが、急峻な山々とその連なり、巨大な氷河群やセラック(氷塔)など、ロケ地として映像的にも相応しいと考えた、と理解しています。(監督がNZ人だったことも大きいようですが)
現実離れしたストーリーなので、いろいろな意見があると思いますが、映像で見られる風景は、合成した本物のK2(やカラコルム山脈)と相まってすばらしい景観です。

Mt.クックの山麓、フッカー谷をハイキング

ハミテージ・ホテルとマウント・クック・ビレッジ


上記のような山岳国立公園も、最初はシンプルな山岳リゾートとしてスタートしています。その拠点は現存するホテル「ハミテージ」の前身で、初代は現在のキャンプ場近くに1884年に建てられました。国立公園は1953年に指定されたため、その随分前から開かれていたことがわかります。
現在のハミテージ・ホテルもこの20年の間にリニューアルされた他、新棟のオープンや、アルパイン・ミュージーアムのオープンなど改装が進められ、新しい近代的なホテルに生まれ変わりました。ホテルやレストランからの景観はとても有名ですが、何よりもこの村に宿泊することで楽しめること自体がポイントでしょう。モルゲンロートに染まるマウント・セフトンからザ・フットスツールなどのアルパイン・デバイド(大分水嶺)、夕景に染まるアオラキ/マウントクック南壁などを楽しむためにも、ニュージーランドを訪れるなら最低1泊、できれば2泊、お勧めの3泊と、たっぷり時間を取って、国内随一の山岳景観を満喫していただきたい場所です。

ハーミテージホテル

マウントクックの名が付けられた世界最大級のキンポウゲ


 ニュージーランドの代表的な風景は?と言えば、広大な牧場に佇む羊の群れ、ミルフォード・サウンドから出港するクルーズ船と背後に聳える世界最大級のシークリフと称されるマイター・ピークの景観、などがありますが、アオラキ/マウントクックと一緒に写るルピナス(ラッセル・ルーピン)の群落を思い浮かべる方はいませんか?
ルピナスは12月頃に咲くカラフルな花で目を引きますが、残念ながら外来種です。本来の原生の植物を駆逐してしまうため、特に国立公園内では好まれていない植物です。一方で、ニュージーランドを代表する植物の一つと言えば、マウントクックの名を冠した世界最大級のキンポウゲ、マウントクック・リリー(ジャイアント・バター・カップ)があります。この国立公園では10月中旬から咲き始め、11月を中心に最盛期を迎えて、12月に掛けて谷から尾根の中腹へと開花していきます。この花とアオラキ/マウントクックやマウント・セフトンとのシーンも、代表的な風景と言えるでしょう。ちなみに有名トレッキングコースのルートバーン・トラックでは、1月上旬でも見られることがあります。 

マウントクックに咲くキンポウゲ

ハイキングから登山まで


国立公園を楽しむ方法は?と聞かれれば、おすすめは歩くこと!と真っ先にお答えします。
もちろんのんびり滞在が目的の方も、また遊覧フライトなどのアクティビティーへの参加も人気がありますが、1時間程度の散策コースも整備されています。また半日から1日のハイキングコースから、絶景の展望地や山小屋を訪れたり、頂を目指したりとさまざまな楽しみ方があります。山頂を目指すといっても、トレッキングの延長から本格的な装備を利用したクライミングまでありますが、それぞれのレベルに応じて幅広く楽しめます。
「バーティカル・リミット」の世界に触れたい方は、通常の遊覧フライトとは異なる氷河上の山小屋を訪れる特別企画などもお勧めです。

フッカー谷のハイキング

中川 元宏中川 元宏

名古屋営業所
出身地:愛知県名古屋市