ドロミテの山容スイス・アルプスでの山小屋宿泊のおすすめ

2018.05.18


 2019年に創業50周年を迎えるアルパインツアーが、1969年夏に最初に実施した山旅がヨーロッパ・アルプスのハイキングでした。ヨーロッパ中央部を東西に弓なりになって横断するヨーロッパ・アルプスは、全長約1200Kmにわたる長大な山脈が7か国にもまたがり、その中心はスイスといっても良いでしょう。スイスは、中央部から南部にかけての国土の約60%はアルプスの山岳地帯が占めています。そのアルプスの山麓に位置する、ツェルマットやグリンデルワルト、サンモリッツなどスイスを代表する山岳リゾート地の快適なホテルに宿泊して、登山電車やロープウエイなどの公共の乗り物を利用して日帰りのハイキングを楽しむのは一般的ですが、さらに足を延ばして、アルプスの懐深く、アルプスの峰々に近づき、山小屋に宿泊するスイスの山旅をぜひおすすめいたします。


山小屋からの赤く染まる夕景の山々(ロープホルン小屋から、左:アイガー、中央:メンヒ、右:ユングフラウ)


他のハイカーがいない朝の静かな山上湖(シュテリゼーからのマッターホルン)


山小屋宿泊の魅力は、


    山小屋へ到着して出発するまでの滞在中、刻一刻と変化するアルプスの山々の眺望が満喫します。午後、山小屋に到着してから太陽が西に傾き、一日の終わりにふさわしいアーベンロート(夕焼け)を迎えます。太陽が沈んだ後も残照によって空の色が変わり、山の輪郭が切り絵のようなシルエットで浮かび上がります。周りの明かりが少ない山上での夜は星月夜がより美しく、幻想的になります。そして、東の空から徐々に白み始めるモルゲンロート(朝焼け)では、標高の高い山から輝き始めてまさに荘厳なひと時が訪れ、あらたな一日がスタートします。麓の山岳リゾートではなかなか見ることができない、限られた山小屋の宿泊者だけが体感できる貴重な時間をお過ごしいただけます。

    それぞれの山小屋へと向かうハイキングコースは、比較的ハイカーが少なく、そして静かです。アルプスの展望はもちろん、足元から広がるお花畑、迫力のある氷河、アルプスを投影する山上湖など一般のハイキングコース以上に変化のあるコースを楽しむことができます。朝食を召し上がった後、空気がひんやりと澄み切った中を朝一番で山小屋からハイキングをスタートできるのも魅力です。

    山小屋では家庭的な雰囲気を味わえる食事と山小屋のスタッフや地元登山者との交流も滞在中の楽しみです。山上ホテルとも異なり、それぞれの山小屋の歴史が感じられ、素朴さや飾らない雰囲気など居心地の良さがあります。そんな山小屋での参加者同士の憩いや語らいの時間もよりグループの絆やメンバーシップを深め、山旅の良き思い出となるでしょう。

 当社のコースにも登場する、とくに展望が良く、地元の方々にも人気のある、おすすめの山小屋を紹介いたします。

ロープホルン小屋(1,955m


 ズルワルトから歩き始めて森やお花畑の中をゆっくり登り、放牧小屋やチーズ小屋の脇を通り、ロープホルン小屋へ。山小屋からはベルナー・オーバーラントの山々のパノラマが広がります。とくに山小屋の前からアイガー、メンヒ、ユングフラウのベルナー・オーバーラント三山が赤く染まるアーベンロート(夕焼け)は圧巻です。

ロープホルン小屋とベルナー・オーバーラント三山

ロープホルン小屋から正面にユングフラウ、眼下には放牧小屋を見ながらの朝のハイキング

 
シェーンビール小屋(2,694m)


 白い小さな礼拝堂が建つシュバルツゼーから、マッターホルンが迫る、北壁の下をハイキングしながら、マッターホルンの北西に位置するシェーンビール小屋へ。山容を変えた荒々しいマッターホルンの勇姿、眼前に広がるツムット氷河、周辺に連なる4,000m峰など、山麓のツェルマットから見ることができない景色を望める山小屋です。

マッターホルン北壁を真正面にシェーンビール小屋へ

フルーアルプ小屋(2,620m


 山岳ロッジ並みに設備が整っており、小屋の食事はとても美味しいとの評判です。山小屋からは均整のとれた美しい山容のマッターホルンと眼下に輝く、山上湖のシュテリゼーなどの景観が楽しめます。シュテリゼーでは逆さマッターホルンを投影します。天気が良く早起きをすれば朝焼けに輝くマッターホルンを望むことができます。


フルーアルプ小屋へ到着

フルーアルプ小屋から望む、均整のとれたマッターホルン


ヘルンリ小屋(3,260m


 1865年にマッターホルンが初登頂されたルートがヘルンリ稜でその基部に建つのがヘルンリ小屋です。マッターホルン山頂までは標高差約1200mあり頭上にそそり立ち、小屋からはマッターホルンが近すぎてのけぞるようにして見上げます。マッターホルン初登頂から150周年の記念となった2015年には山小屋は改装され近代的な設備へ変わり、きれいでより快適な山小屋になりました。

徐々に近づくマッターホルンを望みながらヘルンリ小屋へ


見えてきたヘルンリ小屋への最後の登り、頭上にマッターホルンが迫る

 

 まだまだ、スイスにはたくさんの山小屋があるので、今後の新コースにもご期待ください。いずれかの山小屋でアルプスで素敵な思い出となる宿泊をお過ごしください。




山田 勝山田 勝

東京本社
出身地:千葉県