2019.10.07
創業50周年記念特別企画として、7月30日から10日間の日程で、世界の屋根‘’カラコルム山脈‘’の高峰集まるフンザ周辺から、秘境シムシャール、そして、浪漫あふれるクンジュラブ峠を越えて、パミール高原にはいり、シルクロードの十字路‘’カシュガル‘’をめぐる壮大な旅のツアーリーダーとして同行いたしました。
弊社のカラコルムの山旅は、1978年からはじまり、1986年には世界初のツアーとして、中国からクンジェラブ峠を越えてパキスタンへ抜けるコースを実施しました。
そして創業50周年にあたる今年、パキスタンの治安回復を機に、多くのカラコルムへの山旅コースを復活させました。その中でも、33年前に世界初のコースとして実施したクンジェラブ峠越えのコースを復活させました。
まずは、空路、北京を経由し、パキスタンの首都イスラマバードへ。途中、見事なカラコルム山脈を機窓から俯瞰することができました。
イスラマバードの空港は、昨年の5月に新空港になり、以前に比べると、ずいぶん近代的な建物に生まれ変わりました。空港の外をでると、夜にもかかわらず、熱気がすごく、パキスタンは、どちらかというと砂漠地帯に近い気候というのをあらためて感じました。
そして、カラコルム山脈の山麓地域の中で、もっとも名の知られた場所“桃源郷フンザ”を訪れました。世界三大長寿地域の一つと言われ、小麦やリンゴ、アンズ、クルミ、桃、チェリー、ブルーベリなど多くの果物が実る、豊かな地域です。フンザは、何度も訪れていますが、季節ごとにまったく違った風景をみることができ、その都度、違った感動を発見することができます。春にピンクや白の花を咲かせたアンズは、夏の時期、フンザのあちこちで、おいしそうなアンズの果実がたわわに実っていました。
フンザでは、かの有名な長谷川恒夫氏が遭難したウルタルⅡ峰や北杜夫の“白きたおやかな峰ディラン”や名峰ラカポシ、“女性の指”と称されるレディースフィンガー、スパンティークなど多くの山々を望みながら、ミニハイキングを楽しむことができました。
カラコルムの特徴としては、山奥深くまで、車道が発達しているため、軽いハイキングでも雪山を至近距離からの望むことができ、また、ネパール・ヒマラヤに比べると、緯度が高い位置にあるため、標高2,000m付近でも氷河が発達しています。
フンザを訪れた後は、グルキンに移動し、歩き始めからカラコルムの名峰、シスパーレ(7,611m)(写真②)やウルタルⅡ峰などを望みながらの大満足のトレッキングを楽しみました。そして、パキスタンの中でも、辺境地ともいえるシムシャール村まで、四輪駆動車にて、断崖絶壁の車道や川を横切りながら足を延ばしました。
シムシャール村は、カラコルムの高峰を登るクライミングガイドやハイポータを多く輩出する村で、宿のご主人がK2の登頂者であり、羊飼いのおじさんがナンガパルバット登頂者であるなどして、まさに強者が集まる村でしたが、生活そのものは、非常に素朴で、我々のグループを家に招き入れていただき、ほとんど来ない日本人を歓迎してくれました。
そして、今回のハイライトでもあるクンジュラブ峠越えです。
峠までの車道は、まさにカラコルムの意味をなす‘’黒い岩‘’と急峻な谷が続き、まさに山の奥懐に入山したことを実感します。そして、峠手前からジグザクに少しずつ登り、登りきったところから、景色が一変します。これまでの狭くて深い谷の風景から、広々とした高原へと変わります。パミール高原の始まりです。そして、ついに標高4,693mのクンジュラブ峠に到達。峠にはパキスタンの観光客がたくさんいましたが、国境を越える旅行者はほぼ皆無。我々のグループは、峠をさらに進み、左側通行から右側通行に変わり、中国に入国です。タシュクルガンを経由し、タシュクルガンの町を出てすぐパミール高原の最高峰“ムスターグ・アタ(7,546m)“を望むことができました。
これまで見てきたカラコルムの山々は、どちらからいうと、三角のとがった山が多かったのですが、ムスターグ・アタは、どこか女性的で、牧歌的な風景が似合う、均整とれた山容です。広大なパミール高原に聳え立つ風景をみて、心もどこかほっとしました。
そして、シルクロードの十字路と称されるカシュガルへ。
カシュガルの職人街(写真⑥)やバザールを歩くと、ほとんどウイグル人が生活しています。
中国の西の果てなのですが、中世のシルクロードの時代にタイムスリップしたような感覚です。そして、大都市、成都を経由し帰国しました。
カラコルムのトレッキングは、車道が山懐に発達しているため、登山口がすでに、ネパールで例えると、ほぼベースキャンプ並みに近い場所にあるため、短いハイキング時間で、非常に迫力ある風景の場所までたどり着くことができます。
移動時間は、長い内容のものが多いのですが、その分、通常では考えられないほどの迫力で雪山を望むことができます。そして、中国へ越えると、広大なパミール高原の山々が、車窓から望むことができます。カラコルムとパミール高原をまだ訪れていない方は、ぜひ、豪快な雪山と氷河、パミール高原、シルクロードの文化など、様々な角度から旅を堪能してみませんか?
久保 典彦
東京本社
出身地:三重県