ドロミテの山容ハリー・ポッターが飼うシロフクロウ“ヘドウィグ”に会いに

2018.09.20

ハリー・ポッターが飼うシロフクロウ“ヘドウィグ”に会いに



湖面の氷の上にひょっこり現れたシロフクロウ



オンタリオ湖を進むフェリー


 シロフクロウはケベック州の州鳥としても知られる大型のフクロウ類で、全長約
60cm、翼を広げると150cmほどあり、その体重は2kgにも及びます。シロフクロウは北極圏のツンドラ地帯と呼ばれる苔むした広大な草原環境に生息していて、春から夏にかけての繁殖期は北極圏まで北上し、秋から冬にかけては北アメリカやロシアまで南下します。キラキラした金色の虹彩は印象的でオスの成鳥は体がほぼ純白、メスは全体に黒褐色斑があります。日本国内では動物園で見ることはできますが野生個体を見ることは極めて稀でしょう。

日中に獲物を探すシロフクロウ

フクロウなのに昼間に見ることができる


 フクロウといえば闇夜から神秘的な声が聞こえるばかりでなかなか姿が見られない鳥、すなわち夜行性であることは誰でもよく知っているでしょうが、このシロフクロウはフクロウ類の中では珍しく日中によく活動します。これは彼らの故郷である北極圏が白夜の環境であるためであると考えられています。

目が前向きについているフクロウ類独特の顔


意外にも勇猛果敢ではない狩り


 一般的に猛禽類の狩りといえば勇猛果敢なイメージがつきものですが、フクロウ類は音を頼りにして獲物を探すためその狩りは静寂の中で淡々と行なわれます。羽ばたいても羽音がしない柔らかくしなやかな翼を持ち、獲物との距離を測り、物体を立体視できるよう、人間のように目が前向きについています。また顔が平べったいのは顔全体で音をキャッチできるフクロウ類独特の構造なのです。
電柱に止まるシロフクロウを見る

物語とはリンクしない拍子抜けする出会い


 フクロウ類は「森の賢者」と呼ばれるため賢いイメージがあり、主に夜行性であることから神秘的な印象を持っている方が多いことでしょう。ただ、現地ガイドからの話を伺うとカナダのシロフクロウは車で流していると思わずのけ反ってしまうような場所に鎮座していることが多いそうで、それが我々が持っているイメージとは縁遠い雪原にポツリと立つ電柱や草原内の棒杭、また湖面にせり出した氷の塊の上だというから驚きです。実は日本国内でもシロフクロウの記録がほんの少数ありますが、現地在住のガイドがしっかりと準備をして待っていてくれる環境で拍子抜けするような出会いをいつか体験してみたいものです。

石田 光史石田 光史

ネイチャリング事業部
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