ドロミテの山容フランスからスペインへ、素晴らしい自然と文化に触れるピレネーの旅

2018.07.05


自然と文化の複合世界


 雄大でダイナミックなピレネー山脈の麓にある、素朴で小さな村々を訪ねてきました。昔々から変わらぬ人々の営み、ゆったりした時間の流れ、春から初夏にかけて咲き乱れる植物たち。都会の喧騒とは無縁の世界で、田舎の滞在と山歩きをのんびりと楽しむピレネーの旅をご紹介します。


 フレンチ・ピレネーの小さな村から、1,000m以上の岩壁がそそり立つ大圏谷へのハイキングは、新緑のまぶしさ、山麓を彩る花々、のどかな谷あいを歩き心和む一日です。ガバルニー村からは、壁の向こう側のスペインへ稜線を越えるハードなトレイルもあり、さらにはスペインの西の果て、聖地サンチアゴ・デ・コンポステーラへ900kmにも及ぶ巡礼路が続いています。
 ピレネー一帯は、素晴らしい自然景観に加えて、いにしえの農牧民の生活様式を継承する文化的価値が認められ、世界複合遺産に登録されています。



フレンチ・ピレネーの最高峰に迫る


 ビニュマール峰(3,298m)を望む絶好の展望地まで行ってきました。歩き始めて間もなく現れるゴーブ湖は、かつてフランスの文化人が多く訪れたという静かなたたずまいの山上湖です。さらに清流のせせらぎを聞きながらトレイルを進むと、北壁がだんだんと迫力を増して近づいてきます。数あるトレイルの中でも、ひときわピレネーの迫力を感じられる好ハイキングコースです。


巨大自転車はピレネー熱狂の証


 自転車競技が大人気のヨーロッパ。毎年7月に3週間にわたって開催される自転車レース「ツール・ド・フランス」は、フランス全土が熱狂に包まれます。中でもピレネーのハードな山岳コースでは、毎年ドラマティックなレース展開が繰り広げられるのだそうです。ドライブの途中、山岳道路で練習中の自転車チームを何度か追い越しました。そしてこんな巨大モニュメントで記念撮影。

 

ピレネー山脈の変わり種

 大陸移動の圧力を受けて隆起したピレネー山脈の中で、ひとつ違った生い立ちを持つピック・デュ・ミディ・ドッソォ(2,884m)。岩壁が連なるピレネーから少し離れており、火山によって形成された特異な山です。花が多いピレネーの中でも特にこの山麓は、雪融けと共にさまざまな種類の花々が一斉に開花します。


ピレネーの向こう側はアフリカだった?!


 標高3,000m級の険しい山々が連なる景色を見て、ナポレオンはそう言ったそうです。でも、スペイン側ピレネー山麓の小さな町トルラは、迫力ある岩壁の圧倒的な景観はもちろんのこと、小ぢんまりした雰囲気がとても居心地良い田舎町です。石畳のメインストリートを散歩していると、まるで中世の時代にタイムスリップしたような感覚になります。ナポレオンや、鉄の鎧を身に着けた騎士たちも、きっとこんなふうに大岩壁を見上げていたのでしょう。


パワーみなぎる聖地、モンセラット


 バルセロナから車で約1時間。パワースポットのモンセラットは、不思議な岩峰に囲まれた大聖堂です。守護聖人の黒いマリア像に会うために、願い事を胸に毎日多くの人々が訪れます。さらにケーブルカーで稜線へあがり、岩峰を縫うようにつけられたトレイルを歩くと、喧騒から離れて静かな聖地を感じることができます。修道院を見下ろす展望地からスペインの大地を俯瞰して、花を愛でながらのんびりハイキングを楽しみました。そしてモンセラットをあとにする時には、心なしか自分がパワーで満たされているような気がしました。


大都会で迷い込んだ深い森


 建築家アントニオ・ガウディなしには、バルセロナは語れません。ガウディの非凡な才能が存分に開花した最高傑作・サグラダ・ファミリア(聖家族教会)。世界中のどんな教会とも異なる独特の雰囲気を持ち、大都会の中にいながら、まるで深い森の中にたたずんでいるような錯覚に陥ります。着工から130年余りを経て今でも建築工事が続いていますが、ガウディの没後100年の節目、まもなく2026年に完成予定です。


 ピレネー山脈をはさんで北のフランス側と、南のスペイン側の両方で、田舎町の滞在と山歩きをゆったりと楽しんで、旅の最後は大都会バルセロナで最高の芸術に触れました。のんびりと『心の洗濯』をしつつも、充実した内容盛りだくさんの旅。思い切って出かけてみてはいかがですか。

志村 真由美志村 真由美

名古屋営業所
出身地:神奈川県川崎市