flag アルパインツアー50周年に寄せて みなみらんぼう

2019.04.11

 初めての山旅は忘れられない。30代の初め、友人と二人でツアーに潜り込み、インドのスリナガルから、専用バスでラダックのレーに向かった。途中の道路は、国境地帯を走っているため、軍隊の大移動とぶつかり、いたるところで待たされた。深夜になってようやくたどり着いた村の宿で、鏡を見ると、見知らぬ老人が映っていた。ぎょっとしてみると、それは埃にまみれて、真っ白になった自分自身だった。思わず笑ってしまった。その笑顔もひどいものだったが、こうしたたわいもないシーンが忘れられない。旅とは面白いものである。

写真1 みなみらんぼうさん

みなみらんぼうさん



 アルパインツアーで行った山で一番高い山は、アフリカの最高峰キリマンジャロである。入山4日目の深夜、ヘッドランプの明かりを頼りに、月の砂漠のような砂礫の山にとりつくと、本当に月の山を登っているような気分になったものだ。吉永小百合さんのTVコマーシャルに「私は地球を旅しています」というフレーズがあったが、キリマンジャロの夜間ウオーキングではそれ以上で「私は宇宙を旅しています」と言いたくなるほど、ファンタジー感たっぷりだった。まだの方はぜひトライしてみてほしい。

 キリマンジャロでは現地のポーターさんやガイドさんにアルパインの添乗員さんなどと、山小屋に泊まりながらの登山になる。ポレポレ(ゆっくり)精神が身についたのも、キリマンジャロでのことだった。親密な共同生活をしながら登り、苦楽を共にするので、下山後もすっかり仲良しになって、20年経った今も付き合いをしている。そう、いい山はいい友達を作るのである。

 さて、年月は過ぎ、僕も齢を重ね、軍用トラックの誇りを浴びなくとも、髪や口ひげも白くなってしまった。それでも山の呼ぶ声が聞こえる。21年間にわたり、読売新聞首都圏版夕刊に連載し、無事故で1000回を達成できたことは、嬉しいことだった。陰で支えてくれたアルパインツアーの皆さんにもお礼を言いたい。そして、今年は創業50周年、なんと半世紀を迎えられお祝いを申し上げたい。

 今年の6月には、特別企画として、「モンゴルのフラワーハイキング」を企画している。花好きの方はもちろん、モンゴルの大草原の、時間がゆっくり流れる中に、身を置きたいと思う方など、是非ご参加ください。

 天幕のそばで、流れ星を数えながら、じっくり話し合いたいものですね。

Rambow,,

写真2 カナリア諸島テイデ山頂にて

カナリア諸島テイデ山頂にて

写真3 一歩二歩山歩1000回記念(栗駒山頂にて)

一歩二歩山歩1000回記念(栗駒山頂にて)

写真4 香港にて

香港にて

みなみ らんぼう

みなみ らんぼうさん